【世界唎酒師コンクール】きき酒師の役割と、その未来へ向けて
2024年、第6回世界唎酒師コンクールにて、私・山本将守は審査員として参加させていただきました。 この経験は、ただの評価の場を超え、「日本酒」という伝統文化の本質に触れ直す貴重な機会となりました。
今回の大会は、単なる技術の競演ではなく、知識、感性、語彙、判断力、所作といった“人としての総合力”が問われる知の舞台。 準決勝・決勝では、ロールプレイングを通じた提案力が重視され、中でも國酒を使った酒カクテルの創作では、「再現性」や「外観の完成度」といった実践的視点まで審査基準に含まれました。
これはまさに、きき酒師という存在が“味を見る人”から“文化を伝える人”へと変容している証。 日本酒に求められる役割が、ますます立体的になっていることを実感します。
世界各国を代表する優れた審査員の方々とともにこの場に立てたこと、そして文化人としての視点を持って評価を担えたことは、私にとって非常に誇らしい経験となりました。
「味を超えて、文化を見極める」。 その感覚を胸に、私は一杯の中に宿る物語や背景を、丁寧に見つめながら審査に臨みました。
中でも印象的だったのは、台湾代表・黃 鳳誼さんのパフォーマンス。 全員が“100点の技術”を持つ中で、“120点の表現”を目指す姿勢に、きき酒師としての真価を見た気がします。
この場に立たせていただけたことに、心より感謝を込めて──。





